生命保険を利用してお金を借りる方法〜保険解約なしでOK〜
お金を借りる方法として、銀行・消費者金融のカードローンやクレジットカードのキャッシングなどがありますが、生命保険でもお金を借りられるのはご存知ですか?
「契約者貸付制度」と言って、金融機関などと比べて金利も低く、返済方法も自由なのでメリットも大きいです。
ただ、もちろんデメリットもあります。しかも、生命保険ならなんでもいいわけではなく、借りるための条件もあります。
ここでは、生命保険を使ってお金を借りる「契約者貸付制度」について、詳しくお伝えします。
お金を借りるための方法、生命保険の「契約者貸付制度」とは
「契約者貸付制度」とは、生命保険の解約返戻金の一定範囲内でお金を借りることができる制度です。
生命保険には「積立型」と「掛け捨て型」がありますが、解約返戻金が戻ってくるのは「積立型」になります。
生命保険でお金を借りるには、解約返戻金を担保とするため、「積立型」の保険に入っていることが条件になります。
契約者貸付制度の利用条件は?
契約者貸付制度は、生命保険の契約者であれば、無条件に誰でも利用できるわけではなく、条件が定められています。
一般的に、生命保険の契約者貸付制度が利用可能な人は、解約返戻金がある保険に加入する人に限られます。
保険には解約返戻金があるタイプとないタイプ、この2種類に分けられます。解約返戻金とは、現在加入中の保険をすべて解約する時、または一部解約する時に保険会社から支払われるお金のことを指します。
保険の一部解約とは、生命保険の終身保険の死亡保険金の減額・付帯する特約を取り外すことを指します。
生命保険の契約を取り交わしてから、月々の保険料の支払いがスタートしますが、保険料は下記の3種類によって構成されています。
・死亡時に受取りができる死亡保険金に対しての死亡保険料
・保険会社に対して支払う手数料として付加手数料
・生存中に受取りが可能な生存保険料
この3つのうち、唯一解約返戻金の対象外となるのは付加保険料です。
ただし、生存保険料がカットされた生命保険もありますので、このタイプの生命保険に加入した人は契約者貸付制度の利用は不可となります。
また、生命保険のタイプによっては、契約者貸付制度の制度に対応できない場合もありますので、契約内容を要確認です。
生命保険の「積立型」と「掛け捨て型」の違い
そもそも、「積立型」と「掛け捨て型」は、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
「掛け捨て型」は、解約してもお金が戻らない保険、もしくは途中で解約した時には僅かなお金が戻ってくるが満了時にはゼロになってしまう保険で、定期保険や収入保障保険、逓減定期保険がこの掛け捨て型に属します。概ね保障を重視した生命保険です。
「積立型」は、解約するとある程度のお金が戻ってくる保険のことを指し終身保険や養老保険がこの積み立て型に属します。
こちらは、保障を得ると同時に貯蓄を重視しており、掛け捨て型よりも積立部分があるため、同じ保障額の場合、概ね保険料が高額になります。
お金を積み立てられる生命保険「積立型」には、「終身保険」「養老保険」「学資保険」「個人年金保険」などがあります。
どれも途中解約時や満期時に解約返戻金がありますので、お金を借りることができる対象の生命保険です。
借りることができるお金の限度額と金利
生命保険で借りることができるお金は、通常で解約返戻金の70~90%ほどとなっています。
生命保険会社や保険の種類によって違いますので、契約している生命保険会社に確認が必要です。
当たり前ですが、契約者貸付制度とはお金を借りることですので、借りたお金を返済するだけでなく、利子分も返済しなければなりません。
金利は生命保険契約の時期などにより異なりますが、通常は契約した生命保険の予定利率(※)に1%~2%を上乗せした程度に設定されています。予定利率の高い保険契約は貸付利率も高くなります。
※予定利率とは、生命保険会社が生命保険の契約者に対して約束する保険金の運用利回りのこと。契約した生命保険の予定利率は通常、生命保険証券に記載されています。
銀行系カードローンの金利がおおよそ年2.0%~14.0%、消費者金融が平均18%、と考えると、生命保険の契約者貸付制度の金利は平均3%ですので、とても低金利でおすすめと言えます。
5つのメリット
生命保険でお金を借りるとどんなメリットがあるのでしょうか?
①保険を解約しなくてもいい
契約している生命保険を解約して、解約返戻金を受け取るとします。
そうすると一時的にはお金が手に入りますが、生命保険を解約してしまうので保証もなくなってしまいます。
契約者貸付制度でお金を借りる場合、生命保険の契約は継続できるので保証はもちろんですが、もし再加入した場合も高い保険料を支払わなくて済みます。
②金利が安い
先ほどもお伝えした通り、生命保険でお金を借りる場合、金利は平均して3%ほどなので、短期間で返せる場合には消費者金融や銀行系カードローンで借りるよりもかなり低い金利で借りることができます。
③手続きが簡単
生命保険をすでに契約しているので、お金を借りるための審査を受ける必要はありません。
電話やインターネットなどで簡単に申し込むことができます。
④返済方法に決まりがない&返済期限なし
お金の返済方法は特に決まっていないので、余裕があるときは多く返したり変動させることも可能です。
生命保険の契約が終了しない限り返済期限もないので、自分の都合に合わせた返済ができます。
⑤金融機関からの借金は影響しない
消費者金融などでお金を借りる場合は、他社からの借入についても審査対象になりますが、生命保険でお金を借りる場合は、他で借入があっても問題ありません。
信用情報にも記録されないので金融会社と併用してお金を借りることができます。
5つのデメリット
審査もなく、金利も安い。お金を借りるなら生命保険を利用するのがメリット多そうですよね。
では、生命保険でお金を借りる場合のデメリットも見てみましょう。
①複利で利息が増える
ほとんどの生命保険会社が、お金を借りる場合の利息を「複利」で計算します。
複利とは、元本に利子を加えた金額を元に次の利子を決める方法です。
お金を借りたままにしておくと、1年ごとに利息が借入額に組み込まれます。
その組み込まれた借入額に対して利息が計算されるので、1年ごとに金利が膨らんでいってしまいます。
たとえば年利5%で100万円を借りたとき、1年間の利子は元金100万円×0.05=5万円です。
この年のあいだ利子分を返さなかった場合、2年目には合計105万円を借りていることになり、この金額に対して新たに年利5%が発生します。
つまり、2年目の利子は105万円×0.05=5.25万円となります。
この年も利子分を返さなかった場合、3年目は110.25万円に対して年利5%がかかり、利子は約5.5万円となります。
生命保険でお金を借りる場合、期間や返済方法が自由だからと放置せず利息だけでも早めに払うようにしましょう。
②生命保険の解約や失効の可能性がある
①と同様、返済期限がなく返済方法も自由なため、お金を借りたままの状態にしていると、どんどん利子が膨らみ、解約返戻金を超えてしまう場合も考えられます。
解約返戻金を超えてしまうと、生命保険の契約が失効となる可能性があります。
③祝金や給付金などが返済に充てられる可能性がある
生命保険からお金を借りている期間に祝金や給付金などが支払われる場合、そこから借りているお金を差し引かれる可能性があります。
満額もらえると思っていたお金がもらえなかったら、困りますよね。お金を借りる場合は、返済が長期にならないようにしましょう。
④昔に契約した生命保険は借りるときの金利が高い
バブル期など好景気の時代に契約した生命保険は、利率が高く設定されています。
このような保険は解約返戻金の額も高くなりますが、その分お金を借りるときの金利も高くなります。
生命保険の契約日に該当する貸付利率をよく確認した上で申し込みましょう。
⑤契約者貸付制度の利用は生命保険を契約している本人だけ
生命保険でお金を借りる場合は、保険の契約者しか借りることはできません。配偶者や家族などは対象外になります。
生命保険の「契約者貸付制度」、申請方法をチェック
契約者貸付制度を利用する手続きは、下記のような流れになっています。
申請から振り込みまで、通常3日~1週間程度がかかります。
ただし、生命保険会社や契約状況によっては異なる場合もありますので、契約している生命保険会社に確認が必要です。
契約者貸付制度の申請の流れ
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①保険会社に連絡
契約者本人が契約者貸付制度利用希望の連絡をする。また、証券番号が必要になるので保険証券などを準備してから連絡をしましょう。
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②手続き書類の提出
各社で異なりますが、すべて郵送してもらえます。
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③手続き完了後、振り込み
手続き後1週間程度かかります。
返済方法はインターネット・ATM・窓口持参など
(1)ネットバンキングを使用して返済
生命保険会社が提携している銀行に口座をお持ちの方は、提携ネットバンキングサービスを活用することでインターネットで返済することができます。
(2)ATMを使用して返済
提携先の銀行などのATMから返済を行うことが可能です。
(3)窓口に持参
生命保険会社の窓口に持参することで返済を行うことが可能です。
まとめ
「積立型」なら生命保険でお金を借りることができる
生命保険の解約返戻金の一定範囲内でお金を借りることができる制度「契約者貸付制度」を利用してお金を借りることができる。
生命保険「積立型」には、「終身保険」「養老保険」「学資保険」「個人年金保険」などがある。
銀行や消費者金融と比べ、低金利でおすすめ
銀行系カードローンの金利がおおよそ年2.0%~14.0%、消費者金融が平均18%、と考えると、生命保険の契約者貸付制度の金利は平均3%なので短期間で返せる場合には低金利でおすすめ。
返済方法に決まりがない&返済期限なし
生命保険の契約が終了しない限り返済期限もないので、自分の都合に合わせた返済ができる。
返済に注意
お金を借りたままの状態にしていると、どんどん利子が膨らみ、解約返戻金を超えてしまう。そうなると、生命保険の契約が失効となる可能性がある。
目次
- 1. お金を借りるための方法、生命保険の「契約者貸付制度」とは
- 2. 借りることができるお金の限度額と金利
- 3. 5つのメリット
- 4. 5つのデメリット
- 5. 生命保険の「契約者貸付制度」、申請方法をチェック
- 6. まとめ